さかをかける

私の通う高校には校庭がなかった。

都内の私立女子校ならよくある話かもしれない。とはいえ、私の行くかもしれなかった学校の中では唯一なかったように思う。国立のそれぞれは豊かなそれを持っていたし、なんなら郊外にもっていた。私立の面々もそう。別に校庭を駆け回って体育がしたかったわけでもないし、そういう部活動をしたかったわけでも球技大会でときめきを感じたいというわけでもなかったけれど、ともかく私が結局選択した進路にだけは校庭がなかった。隣にある中等部には校庭も、その横のグラウンドもあったけれど別に使うことはなかったっけ。体育は地下の体育館と屋上のテニスコートでやった。

そんなこんななので、まともに長距離を走ったことなどない。そんな娘もメーカー会社員になったので休日のイベント*1で走る可能性が出てきてやっと、土地をキロ単位で考えて走るようになった。大学でテニスサークルにも入っていないから走るための衣類すら持ってないくらいで、ジムでマシンをするために持っているウェアはいくらか不釣り合いであることを記しておきます。*2靴だって会社に入って初めて買ったんだ。ジムといえば泳ぐ人間にとっては走るなんて全く考えも及ばない行動なんだよね。

それなのに駅伝大会のために毎週末朝早く起きて、2キロ走って、当日に備えておくっていうのはなかなかの人格の進歩ではないかしら。山の冷涼な空気はわたしの喉を冷やすけれど、走ると気持ちが高揚してしまってもっと出かけたいと思うようになったことを初めて知った。幹事はつらかった。ともかくきちんと終わったこと、それからもうすこし走りたくなったことだけが良いことでした。おつかれさまでした。

*1:文化としてコンサルの娘だと許容できない

*2:そもそも南国で買うのですごく「動きやすすぎる」服ばっかり