夏、それは…

三島由紀夫を引用せずとも夏が嫌いになって何年経ったでしょうね?

まずわたしはあの夏の醸し出すアトモスフィアが大変に嫌いで(学期末だったり年度末だったり、休暇だったりあの開放的になって人々がエゴをプリミティブにぶつけてくる夏!)さらには日差しでくらくらと参ってしまうので、今の気温の下がり方と夏の終わりの雰囲気に喜びを見出しています。それでも夏の終わりはさみしくなるけれど。

仕事は盆に帰れたことなんて一度しかないけれど、あのときはあのときで盆というタイミングではなくただただ休みを取らないと正気が維持できない状態だったから帰った、に近いものがありました。勤務地を起因にふられたのも夏だったか、それが起こるよりも前から私は今の居住地と勤務地に対して怒りしか持っていなかったから、それについての感想は深くなることはなかったけれど。ふとした瞬間に断片的な物事が思い出されるのだけがいまだにただただ辛い。

ほかにも8月の頭、盛夏にはあまり思い出したくないメモリーがたくさんあって、大概持ちすぎた側面の一つを失う季節なのではないかとすら思います。抗わずにおとなしくしたい。

代わりに秋の始まりも秋の終わりも、春の気温が上がるまでの間は大好きな季節なのでただひたすらに楽しいことをしたいし、久々に人と楽しいことのプレゼンだとか貝殻集めだとか美術館に行くだとかそういうことを積み上げていきたいです。人としたいと思ったのは本当に3年ぶりな気がする…のだけど身は全く自由にならない。悲しいかな。

 

盛夏になるまえに、7月の終わりに毎年タブッキのレクイエムを読むことにしていて、その瞬間だけは夏が好きになります。あまりにもやさしいので…。ポルトガルは真冬にしか行ったことがないけど、十分に暖かくて良い街だった。起業するならあそこでしたいと思っているし、ポートワインは常に棚に置いて少しずつ嬉しいことの後に飲んでいる。

それからハインラインは6月に読む。誕生日の前に。

ハインライン夏への扉は紆余曲折あった大好きな女との初めての共通項で、お互いこれが好きって話をしたのに誕生日にくれたので本棚に二つあります。微妙に訳がちがう。彼女との約束を果たすためにもきちんと仕事を積み上げて東京に早く帰らないといけない。

 

レクイエム (白水Uブックス―海外小説の誘惑)夏への扉[新訳版]夏への扉 (ハヤカワ文庫SF)

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